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【イベントレポート】SMALL BUSINESS LABOセミナー わざわざ・平田はる香さん

#JIRIN#オンライン
2021.08.19
2021年8月9日(月・祝)、鹿猿狐ビルヂング3階のJIRINにて、SMALL BUSINESS LABOセミナーを開催しました。

今回のゲストは、長野県で「パンと日用品の店 わざわざ」を経営されている平田はる香さん。時代の流れや事業のステージに合わせて独自の成長を遂げてきた平田さんに、「次に進むためのやめる決断」をキーワードにお話しいただきました。

このレポートでは、当日の様子をお届けします。

選択と決断が日常的に起きるのが経営

皆さんは目の前にやりたいこと、やるべきこと、やるか迷っていることが無限に広がっているなか、「何をやって、何をやらないか」をどうやって判断していますか?

想いをもって事業を立ち上げたり、先代までの意志を継ぎ事業を承継したり。事業の代表になるまでのストーリーは人それぞれではありますが、有限な時間とリソースを何に割くかについては、経営者はもちろん、どの仕事人もが頭を悩ませるトピックスではないでしょうか。

今回平田さんへ出演の依頼をした際、奈良でスモールビジネスをされている方や、今後立ち上げたいと考えられている方に向けたイベントであることを伝えると、平田さんから上がってきたのも「次に進むためのやめる決断」というキーワードでした。
当日のイベントでは冒頭から「事業をやっていると取捨選択が日常的に起きる」と、平田さん。創業から10年強のわざわざでも、何度も大きな取捨選択をされてきたといいます。

「経営って取捨選択の連続なんですよ。いつなんどきも、選択と決断が迫られるんですよね。開業前の方だったら自分がいま開業するにあたって決断を迫られているという状況もあると思いますし、コロナだったりとか売上の低下だったりと色んな課題が起きたときに、どっちを選択すべきかっていうことを今日はテーマにしています」
わざわざが経験してきた選択と決断
この取捨選択に役立つものとして、平田さんが挙げたのが“ビジョン”です。

「答えを言ってしまうと、最初に設定するべきなのは抽象的なビジョンです。どんなビジョンを掲げるかが決断の礎になるんですよね。ビジョンがあるからこそ舵をきれる。そのビジョンの設定を間違えると本当に大変なことになる。だから、最初によくよく考えてほしいというのが今日の話です」

ビジョンがあると芯がぶれない

ビジョンを設定するとき、大切なのは「何(what)をしたいよりも、どう(how)したいか」だと平田さんはいいます。わざわざのビジョンは「人々が心身ともに健康である社会へ」。「ビジョンがあると芯がぶれない」と、ご自身の具体的な決断の例を挙げて説明くださいました。
わざわざのビジョン
問題が起きたとき、その場しのぎで対応してしまい判断ミスをしてしまったり、これまでの判断と矛盾してしまったりという場面は、多くの方が経験されてきたと思います。

しかし「目の前の課題解決だけに意識が向き、視野が狭くなりがちなこのタイミングこそ、ビジョンが支えになる」と平田さん。ビジョンがあることで、短絡的な解決方法ではなく本質的な解決方法を導けるようになるというわけです。

「例えば私がパン屋をやっていて『長時間労働で身体に負担がある』という問題が発生したとき、ビジョンが『パン屋開業』だったとしたら、『やむを得ない』『頑張ろう』みたいなことになりますよね。でも、ビジョンが『健康的な社会へ』だったら、『自分自身が健康を保てない働き方は改善しよう』になります。そうやって、人員増加や設備投資といった手だてを考える。ビジョンがあることで、具体的な解決策を考えるステップへ至るわけです」
ビジョンにもとづいた、わざわざの経営判断の例

ビジョンは5W1Hで割って突き詰めていく

ビジョンが必要であることはわかったとはいえ、どうやってつくればいいのかわからない。そんな方におすすめなのが、目の前のhowを5W1Hで割り、具体から抽象にしていくという平田さん流の方法です。

5W1Hの “素数” で割り、これ以上分解できないところまで突き詰めていくとビジョンに達するというこの方法は、誰もがチャレンジしやすくわかりやすいものでした。
平田さん流・ビジョンの突き詰め方
ビジョンのつくり方に悩む方は、ぜひ一度、平田さん流のユニークな方法を実践してみてください。

小さなコミュニケーションを繰り返して浸透させる

経営判断の支えになるのがビジョンであることは理解したうえで、そうしてできたビジョンや、そこからうまれる決断を、社内・社外に理解してもらうには? そんな疑問も浮かびます。

平田さんはこれまで「小さなコミュニケーションを繰り返す」ことで、ご自身の判断を理解してもらうよう努めてきたと話されました。

例えば甘いパンの製造販売をやめたときのこと。

「自分の焼いていた甘い菓子パンが、お客さまの健康を害する原因になっているかもしれない」。そう気づいたとき、平田さんはこれではビジョンにフィットしないと、菓子パンの製造をやめる決断をされました。

とはいえ、わざわざの菓子パンを楽しみにお客さまが来てくださっているのもまた事実。「やめないで」という声をいただきながらも、お客さまに事情を説明して理解をしてもらう。同じく社内への発信でも小さなコミュニケーションを心がけ、そうやって一つひとつ、丁寧にフォローされてきたのだそうです。

とりあえずやっちゃえば?

最後に、N.PARK PROJECTマネージャーである井上から、平田さんに「お店をこれから始める方へアドバイスを」とお伝えすると、平田さんの口から出たのは「とりあえずやっちゃえばいいんですよ」という言葉でした。
「軽く起業してほしいなって。失敗してもリスクゼロなんですから。崩れるものもないんですし。間違ってたらどこが間違ってたんだろって反省して、もう1回違う方法でやってみる。そうやって気軽にやってみてほしいですね」

新しいチャレンジに失敗はつきもの。ついついその失敗の方が気になってしまうかもしれないけれど、まっさらな状態で臨むときに、失うものは何もない。構えてしまいがちな「起業」というアクションですが、平田さんは明るく軽やかに背中を押されていました。

たった1人でパンの移動販売から始め、その後イベント出店などを経て、今や長野の山の上にあるにも拘らず、スタッフを多く抱えて3億円を超える売上規模のお店にまで育て上げた平田さん。

その道々は最初から決めていたものばかりでなく、必要に差し迫られて決断したものもたくさんあったことでしょう。しかし、目指す世界がはっきり見えていたことが、ここまで独自の成長を遂げられた要因なのだと、平田さんのお話を伺い改めて理解できました。

ビジョンを持つこと。まずは小さくてもチャレンジすること。丁寧なコミュニケーションを心がけること。難しく考えすぎずシンプルに、自分らしい判断ができる、明日からのヒントが詰まったセミナーでした。

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文:谷尻純子(中川政七商店 広報)
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