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【イベントレポート】5組の奈良事業者が新規事業案を発表「ビジネスコンテスト」(奈良にいい会社をつくろうサミット)

#その他#パートナー
2023.12.25
奈良に“いい会社”をつくる「N.PARK PROJECT」に取り組む中川政七商店が主体となり、開催したカンファレンス「奈良にいい会社をつくろうサミット」。

当日は有識者による基調講演や、県内で活躍する先輩事業者によるパネルディスカッションの他、新規事業を対象にしたビジネスコンテストなどを実施。約150名の参加者とともに、県内に産業と雇用を生む「いい会社」をつくる機会となることを目指しました。

※イベント全体のレポートはこちら:
【イベントレポート】奈良にいい会社をつくろうサミット

この記事では、そのなかでもビジネスコンテストの様子をご紹介いたします。

奈良で新規事業を試みる5組の事業者に登壇いただき、それぞれが計20分の持ち時間で事業プランの発表と、審査員からのフィードバックを受けた本プログラム。審査を担当したのは、小山智士さん (小山株式会社 代表取締役社長)、藤沢久美さん(国際社会経済研究所理事長)、坂本大祐さん(合同会社オフィスキャンプ 代表社員 クリエイティブディレクター)、そして中川政七(株式会社中川政七商店 代表取締役会長)の4名です。

悩みながらも進めてきた事業アイデアと、思いの丈がそれぞれに語られた当日。各登壇者の事業概要や、最優秀賞を受賞した事業者は以下となりました。

1人目:株式会社ライコックス・稲葉泰志さん

トップバッターは大学卒業後、一般企業での勤務を経て、2018年に奈良に帰郷し家業の筆記具メーカーに入社した稲葉さん。文具のOEMを主軸に長く事業を続けてきた家業ですが、市況の変化により売上は厳しくなる一方だといいます。

「祖父が創業し、叔父が守った家業を残したい」
「OEMメーカーとして培った技術を活かしながら、起死回生を図りたい」

そんな思いを持ち今回発表してくださったのは、万年筆のオリジナルブランドについてのアイデア。業界動向と市場の成長率を踏まえながら、まずは女性を主なターゲットとした商品の開発を想定しているといい、事業の成長性や売上目標などをお話しいただきました。

2人目:吉谷木工所・吉谷侑輝さん

続いて登壇したのは、吉野を拠点に木工製品の製造販売をする、吉谷木工所6代目の吉谷さん。同社では明治43年の創業以来、木工製品のなかでも特に三宝を作り続けてきました。

日本遺産にも登録されるような曲げの技術を持つ技術派の事業者である一方、三宝の需要は先細り。一家に一台あった戦後の時代から時は過ぎ、ライフスタイルの変化に伴い需要は減り続けているといいます。

そこで「神具から新具へ」とコンセプトを設定し、小物入れやマルチボックスなど、技術を活かした新たな木工製品作りへ挑戦する、近年の試みについてお伝えいただきました。

3人目:株式会社桂裳苑・森本啓介さん

3人目の登壇者は昭和5年創業の呉服店・株式会社桂裳苑の後継ぎである森本さん。ピーク時からおよそ6分の1に縮小している着物小売市場の現状を受け、新たに挑むのは「伝統的な素材と技術を用いた、上質な“アパレルブランド”としての着物」です。

高価格帯フォーマルから低価格帯カジュアルへと消費者ニーズが変化している業界事情を踏まえ、またご自身がこれまで共鳴してきた感性を大切にしながら、「奈良から発信するJapanese Quiet Luxury」をチャレンジのテーマに設定。

奈良が持つラグジュアリービジネスの可能性と紐づけながら、旧来のフォーマルラグジュアリーでも昨今のカジュアル路線でもない、クワイエットラグジュアリーにご自身の事業を位置づけ、事業案を語られました。

4人目:HIRAKUホールディングス株式会社・中岡崇さん

過去に一度、N.PARK PROJECTが主催したビジネスピッチにも登壇経験のある中岡さん。現在はご自身が持つADHDという特性を背景に事業を立ち上げ、奈良をホームに、多くの人の可能性を“ひらく”福祉事業に挑戦中です。

HIRAKUホールディングスが展開するのは、世代ごとに専門特化した、自立直結型の支援。例えば小中学生向けには学習に特化した放課後等デイサービス、学校卒業後には職業訓練を受けられる就労支援サービスなどを運営されています。

未就学から就職までワンストップで支援するビジネスチェーンの強みを話しつつ、今後新業態として出店予定の、ヘルスケア関連事業のプランについてお話しいただきました。

5人目:株式会社川東履物商店・川東宗時さん

最後は、中川政七商店が過去に奈良で開催した「経営とブランディング講座」にも参加されていた、川東履物商店の川東さん。履物産業の産地である奈良でご自身も家業を履物関連事業に持ち、現在はヘップサンダルを現代にアップデートしたブランド・HEPを主宰されています。

洗練されたデザインで今や数多くのセレクトショップに採用され、2023年には地元にファクトリーショップ「ヘップランド」のオープンも行うなど、順調に事業を伸ばすHEPですが、さらにもう一段上のステージを目指し、次にチャレンジするのはB2B事業。

全国のまちと宿の足元をHEPで席巻していけるよう、「履物編集部」と名を打って宿泊施設への卸事業を本格的にスタートしたいと話されました。

映えある最優秀賞に輝いたのは…

いよいよ審査結果発表の時間。4名の審査委員による熟考の末、映えある最優秀賞に輝いたのは…

川東履物商店の川東さんでした!
川東さんの発表スライドより
川東さんの発表スライドより
川東さんへは副賞として、その挑戦をさらに軌道に乗せられるよう、中川政七商店によるビジネス支援が行われます。膝を突き合わせ、経営分析や経営フェーズに応じたコンサルティングを実施し、川東さんの更なる発展に繋げていく一助になればと思います。

川東さん:
「名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。嬉しさを感じているとともに、もっともっと自分の覚悟を決めてビジネスを加速させ、奈良にいい会社を増やしていきたいなと思っている次第です。今日はありがとうございました」
またもう1名、「グッドプレゼンター賞」としてライコックスの稲葉さんの名も。こちらは最優秀賞ではないものの、優れた事業アイデアの評価と今後への期待として、審査員が協議を重ねた結果、急きょ当日に設けられました。

稲葉さん:
「賞は一つしかないものだと思っていたのですごく嬉しいです。ただ最優秀賞を取れなかったことについては自分自身で反省するところもたくさんありますし、最優秀賞に選ばれた川東さんの発表がすごくよかったので、いいところを真似して、追いつけるように頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました」
最後に、総括として4名の審査員からもそれぞれにコメントをいただきました。

中川政七(株式会社中川政七商店 代表取締役会長):
「5名の方々、本当にプレゼンテーションお疲れさまでした。こういうの、緊張しますよね(笑)。5名の方のプレゼンを聞いて、参加されている皆さんにも『事業として面白い』とか『志に共感する』とか、そういった気持ちを共有できたのかなと思います。それが、こういった会を催したことの何よりの大きな成果かなと思うんです。

発表者はどの方々も、志やなぜそれをやるかの理由がはっきりされていて、甲乙つけがたいところがあったのですが、事業性を鑑みて検討した結果、今回の形となりました。

ただ、ビジネスコンテストで賞を取ったところが一番うまくいくかといったら、そうでもないので(笑)。賞を取らなかった企業の方がうまくいくのはよくある話なので、皆さんそれぞれに頑張っていただけたらと思います。僕らも、賞を取ったところだけ応援するなんてことはもちろんありません。これをご縁に、それぞれの方の事業を応援できたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします」

小山智士さん (小山株式会社 代表取締役社長):
「5名の方々、それぞれにとても良いプレゼンをしていただきありがとうございました。審査は本当に僅差でして、5名の方々のどこが伸びてもおかしくないと感じています。皆さんポテンシャルはありますので、しっかり頑張っていただくことを期待しています。賞は関係なく、何かご相談事があればおっしゃっていただければと思います。今日はありがとうございました」

坂本大祐さん(合同会社オフィスキャンプ 代表社員 クリエイティブディレクター):
「今日は長丁場で、ずっと見てくださった方は腰が痛くなってるんじゃないでしょうか(笑)。いやでも、まさか奈良でこんなイベントができて、しかもたくさんの方に来ていただけたことに、自分はすごく感動しています。こういうことが積み重なっていくのも大事だと思うし、5名のプレゼンターの皆さんが、発表された事業を奈良でやろうとされていることそのものに、応援したい気持ちや嬉しい気持ちがあります。

このビジネスコンテストも優劣を決めるというよりも、どの人が一番ビジネス支援を受けるに適しているか、ということが決まっただけだと思っていて。ビジネスモデルの優劣で決まった賞ではないことはお伝えしておきたいなと思っています。長時間お疲れさまでした。ありがとうございました」

藤沢久美さん(国際社会経済研究所理事長):
「ご発表いただいた皆さま、お疲れさまでした。素晴らしいお話ありがとうございました。私は個人的にスタートアップの方に投資をしているんですけど、どちらかというと長期投資家なので、その人を見たときに『今のビジネスモデルは上手くいかないけど、この人はどんなことになっても、きっとピボットしながら別のことをやってでも立ち上がっていく人だ』と思える人に、出資をするようにしているんですね。

上手くいくか、いかないかを分けるカギがあるとするなら、どこまでそれを真剣に考え、時間をかけて掘り続けていくかだと思います。すごく考えた人、すごく動いた人は必ず答えが見つかります。

また、ご自身が生きている間にはもしかしたら成功に繋がらなくても、そういうことを一生懸命やっている人の姿は、次の世代に絶対続くんですよね。今日の5名の方々は、次の千年、二千年に向けて新しい何かを生み出す方々だと思います。ぜひ生きている間に花開いていただければとは思いますが(笑)。引き続き期待しています」
手前から中川、小山さん、坂本さん、藤沢さん。審査員のプロフィールについては、登壇者募集時の記事をご覧ください
最優秀賞は決まりましたが、それはあくまでこの場の話。5組それぞれが目指す世界を実現していくことが、また、いい事業・いいサービス・いい商品、そしていい会社を目指し実践していくことが、これからの奈良を担います。

N.PARK PROJECTとしては皆さんの今後の活躍を応援しつつ、必要なときはぜひお力になれたらと考えています。発表者の皆さん、ご準備と発表お疲れさまでした!今回を一つのきっかけとして、奈良にいい会社がさらにたくさん増えていきますように。

文:谷尻純子
写真:森アキラ
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