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【インタビュー】N.PARK PROJECTが “経営力向上を目指すトレーニングラボ” をはじめる理由

#その他
2021.09.03
中川政七商店が「いいお店を増やすことで、いい街をつくろう」と取り組む、奈良のまちづくり「N.PARK PROJECT」では、スモールビジネス事業者を経営面からサポートすることでいいお店を増やす試みを行っています。

そんなN.PARK PROJECTより、2021年9月1日に“経営力向上のためのトレーニングラボ”として、SMALL BUSINESS LABO 月額会員サービスを提供開始いたしました。

このサービスでは現役経営者や経営者・起業家候補の皆さんが、経営者の集うラボ(コミュニティ)に身を置きながら自社の経営課題を洗い出し、ご自身で次の3か月に手を付けるべき内容や目標を決定。ラボメンバー同士で状況を共有したり、時にはサポートしあったりしながら、実際にご自身で設定した課題に取り組んでいただきます。

中川政七商店は、いわば皆さんの “ペースメーカー” 的役割。パーソナルジムで言うと、日々のトレーニングをサボらないようにサポートする、トレーナーのような存在です。

それにしてもなぜN.PARK PROJECTが、このタイミングで、こういったサービスの提供を始めるのでしょうか。

本記事では、サービス内容の監修を務める、中川政七商店 代表取締役会長の中川政七と、本サービスの実務責任者で皆さんの “ペースメーカー” を務める、中川政七商店 社員の安田翔に、サービスローンチの背景やサービスの特徴を聞きました。

※取材・執筆:中川政七商店 編集・広報 谷尻純子

▼サービス詳細はこちら▼
https://n-park-project.jp/topics/news/2124

※9月の定員は満席となりました。次回は11月下旬の募集開始を予定しております。以下のフォームにご登録いただいた方には、次回募集枠のオープン時に優先的にご連絡をさせていただきます。ご応募を検討されている方は登録をお願いいたします。

▼ウェイティング用フォーム
https://forms.gle/zLwtMhKuQhXWYF3h7
N.PARK PROJECTの拠点「JIRIN」にて

多くの経営者はいきなり “上腕二頭筋” を鍛えて失敗する

谷尻純子(以下、谷尻):

新しいサービスの提供がスタートしましたが、そもそもなぜこのサービスの発想に至ったのですか?

中川政七(以下、中川):

僕は社会人3年目のときに家業の中川政七商店に戻ってきて、2か月後には自分で志願して赤字だった雑貨部門のトップになったんだけど、その瞬間から経営者になったわけだよね。当然わからないことだらけでいっぱい失敗もしたんだよ。

それと、これまで色んな会社の経営コンサルをやってきて、教育講座も含めてたくさんの経営者を見てきました、と。

そのなかで「何がクリティカルなのか」「何が差を生んでいるのか」というのが、今になってよくわかってきた。それって「ブランディング」みたいなことじゃなくて、もっと会社の足腰の部分なんだよね。

なんで世の中のブランディングや、デザイナーとの取り組みが上手くいかないかと言ったら、足腰が強くないんですよ。つまり、基礎体力がない。

それなのに、いきなり上腕二頭筋をめっちゃ鍛えようとするわけ(笑)。でもそれだと、会社として身体が上手く動くようにはならないんだよ。

やっぱり物事には順番がある。まず足腰で、その後に上半身。でもみんな順番を間違うんだよね。足腰って目立たへんやんか。胸の筋肉とかのほうに目がいきがちで。確かにそこも問題はあるんだけど、そこを先にやっても、まずは足腰ができてないと意味がない。

で、足腰って何だろうな、なんでみんな鍛えないんだろうなと思って、「そういうことか!」と思ってできたのがこのサービスです。
中川政七商店 代表取締役会長 中川政七

全体の理解・優先順位・着実な実行の3つが足りていない

谷尻:

なんでみんな足腰を鍛えないんでしょう?

中川:

まず全身を見てない。胃も悪いし心臓も悪いし足腰も悪いし、全部悪いから「毎日しんどいなぁ」と思いながら、それでも何となく身体を動かしているわけですよ。

で、「今日は特にここが痛い」「今日はここが気になる」とかがその時々にあって、そこを鍛えるんだけど、3日くらいするとまた別の部分が痛くなるから散漫になる。計画的に、順番に改善するっていうプランがなかなか立てられないってことだね。

まず全体が見えること、優先順位が決められること、決まったとしてそれに着実に取り組むこと、この3つが足りないんだよね。

大きな企業だとそれぞれを優秀な専門メンバーに任せればいいけど、中小企業には(それに取り組めるのは)社長しかいないから、その人が取り組むしかない。

会社を良くするとなると短期間では難しいから、ある程度中期的な目線で取り組まないといけない。そのミニマムが3か月だと僕は思うから、今回のサービスでは3か月ごとのサイクルで課題に取り組めるように設定してるというわけです。

全体の理解・優先順位・フォーカスしてちゃんと取り組む。これが揃うと経営改善に効果的なんだけど、みんな、なかなかできないんだよ。

谷尻:

全体の理解ってどうすればできるようになるんですか?

中川:

決算書から売上を商品別・販路別に分解する。それぞれの益率を計算する。そしたら益額が見える。で、販管費を分解する。以上。つまり、決算書をちゃんと読むということだね。それだけなんだけど、でもまぁ、みんな本当にやらない。
安田翔(以下、安田):

淳さん(中川政七)は、なんでやるようになったんですか?

中川:

なんでって、当たり前のことやん(笑)。

安田・谷尻:

(笑)!

中川:

経営者の一番の仕事は利益を出すことだからさ。利益が出てなかったら「何で利益出ないんやろ?」って考えて、売上、原価、販管費を見て、じゃあどこをどうしていこうかって考える。たったこれだけのことなんだけど、みんなルールを理解してないんだろうね。

野球に例えると、相手チームより1点でも多くとることが勝負なのに、バットを思い切り振るゲームだと勘違いしている感じかな。

よくあるのは「売れる商品をつくろう」って考え方。でも売れる商品をつくるのが最優先じゃなくて、本来は利益を出すのが最優先なんだよね。

“地味な改善” を続けるための仕掛け

谷尻:

なるほど。ペースメーカー的役割を置く意味は何でしょう?

中川:

これも筋トレを思い浮かべるといいんだけど、(継続が大切って)わかっちゃいるけどやれないじゃないですか(笑)。人間ってやっぱ怠惰なものなんで。1つのことをやり続けて結果を出すって簡単なわけじゃないよね。

足腰を鍛えるの(=経営改善)って地味だからさ。新商品をつくってるほうが楽しいから、ついつい後回しにしちゃったり続けられなかったりするんだけど、パーソナルトレーニングが有効なように、人が見ててやらなきゃってなったらやるんだよ。

普通は自分だけでやりなよって話だし、自分もそうやってきたけど、でもトレーナーがついたほうができる人がいるなら、つければいいって、それだけだよね。

谷尻:

ペースメーカーとしては具体的にどんな役割をされるんですか?

安田:

主には「壁打ちによる課題設定の支援」「課題に合った選書」「納期を決め切る」ことの3つを通して会員さんをサポートします。一つめと二つめの役割ももちろん大切なんですけど、意外と3つめが重要な役割だと思ってますね。

ビジョン講座を開催した後に、一番感想として多かったのが「納期を決めたことで、ビジョンをアウトプットできた」というものでした。経営者にはなかなか「期限」が与えられないけど、期限があることはやっぱり大事なんだなと。

それが着想のきっかけになってるんです。

さっき淳さんも言っていたみたいに、地味なことって続けたりやり切ったりがなかなかできないので、耳の痛いことも言わせてもらいながら支援できたらという想いです。
学習サイクルのイメージ(3か月12週間周期)
谷尻:

経営者向けのコミュニティやサービスは、他社さんが提供しているものもあると思うんですけど、他との違いは何ですか?

中川:

うちがこれまでやってきた「経営とブランディング講座」みたいな、体系的な知識を提供するものではないよね。単純にそれぞれの会社のやるべきことに、それぞれが取り組むだけのサービスです。本当に、パーソナルトレーニングジムというか。

でもそんなサービスはたぶんどこにもないんだよね。

安田:

あとは学ぶ内容だけではなく、学び方とか習慣化をキーワードに設計しているところも違いですかね。
中川政七商店 安田翔
谷尻:

今回「学習学」をベースにしたサービス設計にしている、ということですが、例えばどういったエッセンスが入っているんですか?

中川:

新しいことをできるようになるってことは、それ自体が「学び」だよね。

いかに早く、いかに深く学べるかっていうことが学びにはものすごく大切で、それには型がある。

それが学習学であり、N.PARK PROJECTでは学習学をベースにした「学びの型」を中川政七商店流としてつくってる。今回のサービスでは、それに乗っ取った3か月を組んでいます。

安田:

普通はどうしても「学ぶ内容」に注目しがちなのですが、質の高い学びには学ぶ前の準備と、学んだ後の実践とか、振り返りも同じくらい重要なんです。学ぶ前の準備というのは、例えば、その学びの価値の設定や、目標設定ですね。

「学びの型」では、学ぶ内容の前後のプロセスも合わせてサポートできるのではないかと期待しています。
谷尻:

このサービスを、複数名が所属するコミュニティとして展開することにも意味があるのでしょうか?

中川:

みんな会社の事業も違うしコンディションも違うんだけど、人のことを見ていて「あっ」と気付くことが絶対あるんだよ。

同じ業界なんかにヒントはなくて、違う業界にヒントがあるって、僕はよく言ってるんだけど。同じような取り組みをしている人達を見て、気付くものはおおいにあるはずで。

同じフェーズじゃないところでも、学びが絶対あります。

谷尻:

最後に、このサービスの目指すゴールを教えてください!

中川:

単純に会社が良くなる。それは利益が上がるとか、その先にはビジョンが定まるとか、社員のやりがいが上がるとか、要はいい会社になるってことだね。

谷尻:

ありがとうございました!

***

「やるべきことがわかっているのに、業務に忙殺されて手が付けられない」「課題がありすぎてどこから手を付けていいかわからない」。

そんな経営者のお悩みに応えるべく、本サービスはスタートしました。3か月ごとのサイクルで、9月募集(10月スタート)の定員は20名。

足腰を鍛えることで、着実な経営改善をともに目指していければと思います。
本インタビューもご参考いただきながら、ぜひご検討ください!

▼サービス詳細はこちら▼
https://n-park-project.jp/topics/news/2124

※9月の定員は満席となりました。次回は11月下旬の募集開始を予定しております。以下のフォームにご登録いただいた方には、次回募集枠のオープン時に優先的にご連絡をさせていただきます。ご応募を検討されている方は登録をお願いいたします。

▼ウェイティング用フォーム
https://forms.gle/zLwtMhKuQhXWYF3h7

インタビュー相手

株式会社中川政七商店 代表取締役会長 中川政七
1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。
2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任、2018年より会長を務める。
業界初の工芸をベースにしたSPA業態を確立し、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、業界特化型の経営コンサルティング事業を開始。初クライアントである長崎県波佐見焼の陶磁器メーカー、有限会社マルヒロでは新ブランド「HASAMI」を立ち上げ空前の大ヒットとなる。現在は奈良の地に数多くのスモールビジネスを生み出し、街を元気にするプロジェクト「N.PARK PROJECT」を提唱。産業観光によるビジョンの実現を目指している。

2015年には、独自性のある戦略により高い収益性を維持している企業を表彰する「ポーター賞」を受賞。「カンブリア宮殿」「SWITCH」などテレビ出演のほか、経営者・デザイナー向けのセミナーや講演歴も多数。著書に『小さな会社の生きる道。』(CCCメディアハウス)、『経営とデザインの幸せな関係』(日経BP 社)、『日本の工芸を元気にする!』(東洋経済新報社)
株式会社中川政七商店 安田翔
中川政七商店の教育事業担当。新卒入社した国内大手人材企業にて人事を務めた後、中川政七商店 N. PARK PROJECTに参画。「経営とブランディング講座各論ビジョン編」など学びの場の企画を担う。中川政七と共に「学びの型」の体系化・プログラム化を探求している。
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