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【イベントレポート】SMALL BUSINESS LABOセミナー sio・鳥羽周作氏

#JIRIN#オンライン
2021.06.08
2021年6月6日(日)、鹿猿狐ビルヂング3階「JIRIN」にて株式会社中川政七商店主催のSMALL BUSINESS LABO セミナーを開催しました。

ゲストは代々木上原のミシュラン一つ星レストラン「sio」オーナーシェフである、鳥羽周作氏。会場約30名(満席)、オンライン約55名の方にご参加いただきながら14時~16時の2時間で開催し、前半は鳥羽氏の単独講演、後半は中川政七との対談という2部構成でお届けしました。

こちらのイベントレポートでは当日の内容から、スモールビジネスのヒントになりそうな、その一部をご紹介します。

単独公演/鳥羽周作氏

イベントはまず、鳥羽氏の単独公演からスタート。「幸せの分母を増やす」をビジョンに掲げるsioの鳥羽氏より、料理人になった経緯やこれまでのキャリア、また料理人や経営者として大切にしている考え方などを存分にお話しいただきました。
※お話のポイントを箇条書きでご紹介します。

<sioを開業するまでのキャリア>

・もともとサッカー選手を目指して27歳頃まで頑張っていたが大成できなかった。自分の父親が洋食屋のコックをしていたこと、カフェが好きだったことなどがあり、そこでもう一度挑戦したいと思い飲食の道へ進んだ。

・最初はハンバーガー屋での修業からスタート。30代前半はイタリアンやフレンチのお店で働いた。働きたいお店に出合ったとき、そのお店で働くために、求人をかけていないのにコックコートを着て履歴書を持ち、勝手にお店に入って働いていたこともあった(その後、3年くらいそのお店で働いた)。

・30代後半でフレンチレストランの雇われシェフに。しかし、世間で話題になったり結果を出したりしても十分な生活ができるほど給与は上がらない。「飲食業界は本当にこのままでいいのか?」と思い、お店を買い取り「sio」を開業。

<なぜいろいろな業態の飲食店をやっているのか>

・good design companyの水野学さん(※日本を代表するクリエイティブディレクター。中川政七商店やsioのロゴも手がける)のセミナーで「かっこいいデザインはたくさんあってそれはいいことなんだけど、サザンオールスターズやビートルズみたいな、ポップって素晴らしいよね」という内容の話を聞いた。

・sioは客単価2万円で、世の中の多くの人はそこまで来れない。本当に自分の価値はそれでいいのかと考えたときに、水野さんの言葉が響き「僕は料理でポップをやらなきゃいけない」と思い、2店舗目(o/sio)はそれを実現できる店舗にした。

・ハイクオリティのものもやるけど、唐揚げなどの皆が大好きなものを美味しくするのが最強だと思い、自分はそういう道を切り開いている。YouTubeや、SNSで話題になっているマクドナルドのアレンジレシピも、そういった意図から取り組んでいる。

・どんな料理でも美味しくできてこそ、料理人。お客さんに求められたら「専門外なんで」と断るのではなく、たとえリクエストが業態に合わないチャーハンだとしても、美味しくつくれる料理人でありたい。だから、あえて現在の5店舗はジャンルが全て違う(フレンチ、イタリアン、純洋食・喫茶店、居酒屋、和食)。

<奈良に「㐂つね」を出店した理由>

・普段からビジネスにおける大師匠であり、盟友であり、家族のように親しくしている中川さんから、奈良で中川政七商店が建てるビルに出店の声がかかり「ぜひやらせてほしい」と二つ返事をした。

・テーマをすき焼きにしたのは自分にとって、家族のお祝い事に出てきた思い出の料理で、文明開化の象徴でもある料理だったから。世の中にあるすき焼きという食文化の在り方をいま一度疑って定義しなおし、それが定番になっていけばいいと思い、お店で体現している。
<「奈良で、食文化をつくる。」という目標>

・売上やバズをつくりたくて奈良に来ているわけではない。奈良に溶け込み、長く続く食文化やお店をつくりたい。奈良の人に求められているものを提供できたらいいなと思っている。

・「売上やバズをつくりたい」だと、短期的になりモチベーションが続かない。目標(ビジョンやミッション)は大きな単位で考えたほうがいい。

・お店をやるときに一番大事なのは、やり抜ける確固たる覚悟で臨んでいるか。「これをやることで世の中をどうしていきたいのか」という覚悟が大事。㐂つねも本気で奈良のことを理解しようとし、好きにならないと続かないと思っている。

・文化はつくろうとしてつくるわけではない。まずは本質的に世の中に求められているものを見続けて、そこに向かって真剣に取り組んでいく。いいものを一生懸命やり続けていくと、振り返ってみると文化ができている。

・続けること、定着させることが文化をつくるために大事。そのためにはビジネスとして成立させられていることが不可欠。

対談/鳥羽周作氏×中川政七

第二部は鳥羽氏と中川の対談に。コロナ禍で飲食店が苦境にあえぐなか、お店という場を軽々と乗り越えて、他とは違う存在感を放ち続けたsio。他の飲食店がマネできるようでマネできない、sioや鳥羽氏の考え方、取り組みに迫りました。
※一部を抜粋し、対談形式でお届けします。

中川:

コロナになったとき、世間で話題になったsioの「朝ディナー」「お弁当の宅配」みたいな企画にはどういう思考回路で至ったの?

鳥羽氏:

自分たちも相当苦しい状況ではありましたが、会社は潰れるかもしれないけど、飲食としてお客様にやれることをやり切りたいと思って、利益を追い求めず、お客様に求められていることをやり続けようと決めたんですよね。全部その考えがもとになって出てきた企画です。そこが他の飲食店との圧倒的な差だったのかなと思います。

「誰かのためにつくる」という料理人や飲食店の価値を考えたときに、僕はそれが一番大事だと思いました。

中川:

他の飲食店もある意味マネできそうだけど、マネできなかった。変われない飲食店もたくさんあったと思うんだけど、sioと他の飲食店との差を分けたものは何だったんだろう?
鳥羽氏:

シンプルで力強いビジョンがあるか、ですね。「幸せの分母を増やす」という判断基準以外、何もないんですよ、僕たち。

中川:

鳥羽さんの会社では、ビジョン・ミッション・バリューなどをしっかり定めて、ものすごく忠実にやっているよね。ビジネスにつながっているのも素晴らしい。一見感覚的にやっているように思われがちだけど、実はそのへんがすごくロジカルだなと思います。

鳥羽氏:

そもそも「何のためにやるのか」っていうのがないと、ビジネスをやる理由がないんですよね。多くの料理人はそういうのじゃなくて、ただやりたいことをやっちゃいがちなんですけど、ビジョンとか、ビジネスの視点を意識するともうちょっと飲食の在り方が変わるかなと思います。
<イベントを終えて>

感覚的にやっているように見えて、実はビジョンに忠実。なぜこんなに色々な業態のお店を出店されているのか、なぜテレビに出たりYouTubeに出たりと活躍の場をお店の外にも広げられているのかと疑問に思っていましたが、今回の鳥羽さんのお話から、それは全てビジョンにつながる行動で、“ポップ”という言葉を体現しているお店の在り方でもあるんだなぁと納得しました。

ビジネスの視点を持ちながら、「多くの人に美味しいを届ける」ことに誰よりも熱く、まっすぐな鳥羽さんのお話には、スモールビジネスのためのたくさんのヒントがあったのではないかと思います。

このたびは素敵なお話をありがとうございました!

ゲストプロフィール

鳥羽 周作(トバ シュウサク)
sioオーナーシェフ / シズる株式会社代表取締役

1978年生まれ、埼玉県出身。
Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、32歳で料理人の世界へ。

2018年、代々木上原にレストラン「sio」をオープンし、
ミシュランガイド東京で2年連続星を獲得。また、業態の異なる5つの飲食店
「o/sio」「純洋食とスイーツ パーラー大箸」「ザ・ニューワールド」「㐂つね」も運営。

書籍、YouTube、各種SNSなどでレシピを公開するなど、
レストランの枠を超えたいろいろな手段で「おいしい」を届けている。

2021年4月、博報堂ケトルとチームを組み、
食のクリエイティブカンパニー「シズる株式会社」を設立。

モットーは『幸せの分母を増やす』
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