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Seminar

第1期「SMALL BUSINESS LABO 事業計画講座」受講生インタビュー

#JIRIN#オンライン
2023.05.09
2023年1月から3月にかけて開催した、SMALL BUSINESS LABO 事業計画講座。管理会計の考え方や事業計画の立て方について、全5回の講義を通じてご紹介してきました。参加されていたのは、奈良県で事業を営む経営者の方々。本講義からどのような学びがあり、それぞれの事業にどう役立ちそうか、受講をしてくださった3名にお話を聞きました。

チアフル株式会社 代表取締役・松本 梓さん

松本 梓(チアフル株式会社 代表取締役)
神戸大学法学部卒業後、2009年大和ハウス工業株式会社入社。
2016年チアフル株式会社を設立。薬草のセルフケアブランド「jiwajiwa」を立ち上げ、
2020年より奈良・吉野町で古民家体験施設「jiwajiwaな、おうち」を運営している。
近畿経済産業局 女性起業家応援プロジェクト第5回「LED関西」ファイナリスト。
https://www.jiwajiwa.jp/
ー 手がけていらっしゃる事業について教えてください。

2016年に設立し、奈良県産の薬草を使ったセルフケアアイテムの販売を主な事業としています。2020年からは奈良県吉野町に拠点を持ち、「jiwajiwaなおうち」という古民家を運営していて、そこを拠点にしたイベントや講座、体験ツアーなどを開催しています。

私はもともと大手の住宅メーカーに勤めており、出張で全国を飛び回っている時期がありました。その時に、地方の魅力を体感して。当時は住宅という大きなものづくりに関わってたのですが、それよりも、地元のものを使った手触り感のあるものづくりに携われたらと思いはじめました。それが30歳くらいのタイミングで、その頃に働きかたの見直しを考えたのもあり、起業を意識したという経緯です。

起業にあたって「何ができるだろう?」と考えた際、ものづくりをしたい、地元・奈良のものを使いたい、健康に寄与できるものを、と考えた結果、今の事業に至りました。

事業で大事にしていることはいくつもありますが、そのうちの一つに、一般的な会社ではなかなか働きにくい方の仕事を創出をすることがあります。そのためにも、弊社の商品は手作業にこだわったものづくりをしています。
ー 事業計画講座への参加動機を教えてください。

これまでは講座などは受けず、本や行政のプログラムを通じて、ほぼ独学で経営を学んできました。想い先行型で進めてきたとも言えます(笑)。ただ、経営の数字、つまりデータを見るところにはちゃんとコミットできてなくて。何かがあるごとに何とか対応して耐えてやってきたけど、きちんとした施策は打ててなかったなと、コロナ禍になって改めて反省したんです。

最近は事業に関わる方も増えたので人件費もかさんできますし、ある程度数字を見ながら判断していかないとこの後は続かないな、と思い始めました。それで、小売業で相談するならやっぱり淳さん(中川政七)なのではと、相談したのが講座受講のきっかけです。

実は、最初は数字の相談に行ったというより、ブランドをつくることや新商品の広げ方など、全然違う相談をしに行ってたんです。でもその場で「数字を押さえることが、まずやるべきこと」と言われて。実際、経営状況を数字で聞かれたときに、詳細について答えられない自分に気付きました。売上や利益はざっくりわかっていたけど、その内訳は丁寧に見れていなくて。そこで管理会計という概念を知りました。

とはいえ私は数字がとっても苦手なので、概念を知っても、実際に時間を作ったり、まずは誰かに導いてもらったりしないと、自分一人ではやりきれないなと思いました。数字を見ることの意味や、その数字の捉え方みたいなものが、頭ではわかってるけど身体ではわかっていないなと思ったので、そこを知りたかったとも言えます。スポーツのルールブックを見て、「へぇ~」って分かった気になっている状態ではなく、コーチに見ていただき、できているかできていないかを教えてもらわないといけないなと。

ー 講座ではどんな学びがありましたか?

初歩の初歩なのですが、まず初めに5年分の収支を並べて、数字を元に事業について考えるというのが印象的でした。今までは税務会計として、とにかく使った分を登録するという感じだったので、判断するための適切な部門に分けて、数字を管理することは全くできていなくて。

これまでは「肌感でこう思う」で状況を判断していたので、数字を並べて眺めて推測したり、「この数字をもっとこうしたい」のような意思を持ったりするプロセスになっていなかったなと反省しました。

経営判断をする根拠に数字が大切なのは当然のことではあるのですが、これまでは先ほどもお話しした通り、苦手意識からできていなかったんです。でも講座を経て思ったのは、結局は使ったお金、得たお金の内訳を整理して見ていくという、シンプルな話しだったんだなぁということですね。家計簿であればできることなのに、それが会社になったとたんに、苦手意識を持ってしまってできていなかった自分に気付きました。

あとは数字をスムーズに分析していけるように、販売管理システムの導入も考えていかなくては、という気付きもありました。

ー 次の受講生へメッセージをお願いします!

起業して間もない方はもちろん、起業してしばらく経っている方も、会社が歩むべき道や打つべき手について自信を持って判断したい人にも、いい気付きが得られると思います。むしろ起業してから少し期間が経っていた方が振り返るデータもあるし、深く学べるかもしれません。私はこのタイミングで受けてみて良かったなと思いました!

株式会社JITSUGYO 代表取締役社長・沢井 啓秀さん

沢井 啓秀(株式会社JITSUGYO 代表取締役社長)
関西大学法学部卒業後、東京の大手印刷会社に入社。営業部に6年、企画部に2年在籍する。2009年に実家の実業印刷株式会社に入社。2014年に3代目社長に就任。印刷にとどまらず、時代に合わせて柔軟に変化し情報発信ツールを幅広く展開している現状から、社名を株式会社JITSUGYOにする。奈良県内の観光に関する冊子の企画、動画作成、webサイト作成、奈良県のニュースアプリ「ナラプラス」といったサービスを受託する他、電子書籍のポータルサイト「nara ebooks」といった独自のサービスを展開。現在は奈良県内だけでなく、全国に向けた独自サービス「ツタアニ」ではアニメーション動画で、中小企業の採用支援に尽力している。
https://www.jitsugyo.jp/works/
ー 手がけていらっしゃる事業について教えてください。

弊社は今期で65期目を迎えるデザイン・印刷会社です。私は3代目で、もともとは東京の印刷会社で会社員をしていましたが、2014年に父から代表権を引き継ぎました。

同業の企業様との違いで言うと、印刷だけではなくコンテンツ制作も得意としており、お客様によっては印刷にとどまらずWEBや動画を作ったり、オンラインイベントを開催したりもしています。印刷会社なのですが、取材に年80件ほど伺っていたり、広告代理店さんとコンペの機会があったりなど、ちょっと変わっているかもしれません(笑)。

お客様は官庁が多く、例えば奈良県の広報広聴課から頂いたお仕事では、奈良のニュースを配信するアプリや海外観光客向けの動画サイトを作りました。また最近は奈良県の広報誌や観光パンフレットの電子ブックを閲覧できる「nara ebooks」、全国向けのアニメーション動画サービス「ツタアニ」を運営するなどもしています。
ー 事業計画講座への参加動機を教えてください。

講座を知ったのはSNSだったかと思います。正直、実は受講前に想像していた講座とちょっと違ったのですが(笑)。本当はもう少し会計に特化した内容で、会計の基本を体系的に学べるプログラムだと思っていたんです。うちは会計に関して税理士事務所さんにお任せしているのが現状で、そこから送っていただく資料を見て何となく分かったつもり……という状況だったので、しっかり学ぶ機会を作りたいと思い参加を希望しました。

とはいえ想像とは少し違ったものの、学びは多かったです。これまでは営業畑だったので、会計や経営者向けの帝王学を学んだわけではなくて。会計と経営をどう繋げていくのかを改めて学ぶ、良い機会でした。

ー 講座ではどんな学びがありましたか?

自社サービスのポジショニングマップが明文化できたことは、とても大きかったです。事業の棚卸が出来たというのでしょうか。もともと部門を分けて管理会計はしていましたが、今回の講座で分け方の精度が上がったイメージですね。

これまでは、今後目指していきたいことやドライブしていく事業は特にふまえず、単にサービスの種類を各部門として分けていて、伸ばすべき部門を伸ばすための管理会計にはなっていませんでした。講座では分け方のルールや考え方をインストールしていただいた感覚です。

部門分けについて考える際には、中川さんが家業に入られてから進めてきた経営についてのお話もとても参考になりました。それぞれのフェーズで取り組んだことや、その考え方にも多くのヒントがあり、自分の事業に当てはめながら考えられました。例えば目先の売上を立てられる事業と、中長期的に伸ばすべき事業について、それぞれどのように捉えて注力の仕方を変えたか、それをどう部門分けに反映していたかのようなお話です。

ー 次の受講生へメッセージをお願いします!

講座を受けて思ったのは、「力無きビジョンは無力」ということです。講義のなかで、こだわって良いものを作ってはいるけど、稼ぎが残らなかったブランドの例についてのお話しがありました。生産者さんには申し訳ないものの、やっぱりそれって無力だなと思って。いいものを作っていても継続が綱渡りだったら、ビジョンは達成されない。ちゃんと売り上げを立てて、事業として成長していなかったらビジョンは無力だと強く思いました。

もう一つ、「自分がコントロールできる場所に立つ」というのも、講座を受けて強く意識したことです。今の弊社の売上は、売上としては高くても受託案件であるものも多いんです。自社サービスでないので売上のコントロールができず、コロナなどの外的要因で売り上げが落ちることもありました。それに左右されない自社サービスを作り事業化していかないと厳しいな、とも、部門の整理や、それぞれへの注力度を考える機会を通じて改めて思いました。

あとは、受講の仕方についてはオフラインで参加するのが断然おすすめです。内容だけならもしかすると、ビジネス本を読めば近しいことが書いてあるものもあるかもしれません。ただし会場で中川さんに図々しく質問し続けられる環境があった、というのが、強制力が働いて自分としては良かったです。絶対に会場参加したほうが学びがあるので、可能な限り現地受講をおすすめします。

株式会社創喜 代表取締役社長・出張耕平さん

出張 耕平(株式会社創喜 代表取締役社長)
1979年生。2010年に10年間主に営業職のサラリーマン経験後、家業である靴下製造業へUターン。
2014年家業を法人化し現代表取締役社長(5代目)へ就任。下請け中心の事業から脱却を図るべく2015年に
自社ブランド事業部を立ち上げ、更には2017年に体験型くつ下ワークショップシステム【チャリックス】を開発し、
業界やメディアの注目を集める。最近では産業観光事業を進めるべく2021年12月に工場倉庫を改装し、
体験型ファクトリーショップ『S Labo』をオープンさせ全国からくつ下の町広陵町へ人を呼び込む事を成功させる。
『日本一ワクワクするくつ下工場になる』をビジョンに掲げ、従業員、地域、お客様が喜べる会社を目指す。
https://www.souki-knit.jp/
ー 手がけていらっしゃる事業について教えてください。

弊社は1927年に創業し、広陵町の地場産業である靴下製造業を営んでいます。曾祖父が農家の副業として靴下作りを始めたのが事業の始まりで、私で5代目ですね。私自身はもともと家業に戻るまで販売や店舗運営の仕事をしていました。その後、転職して宝飾品関係の法人営業を5年ほど経験して、家業に入った形です。代表になってからは8年強ですね。
事業としては、OEMと自社ブランドの2本柱です。ものづくり全般が衰退の一途にあるなか、今まではOEM事業の1本だったのですが、7年ほど前から自社ブランド事業部も立ち上げました。今はローゲージの靴下作りを強みに、両輪で展開している。

自社ブランド事業部では、卸売りもしていますし、自社のオンラインショップや実店舗のファクトリーショップで直販もしています。
ー 事業計画講座への参加動機を教えてください。

先ほども申したように、これまでのようなOEM事業だけではなく、自社ブランド事業も始まり、その自社ブランドの中にも小売と卸があるという風に、事業部が増えてきました。事業単体で別々に見た中で、果たしてそれぞれに利益が出ているのか。それをちゃんと管理したいと思ったのが動機です。

販売の動向はシステムを使って見ていたのですが、事業部単体ごとの収支はどうなっているのかと、ずっと疑問に思っていて。もちろん各事業部ごとの売り上げ自体は見ていたものの、販管費の分け方の感覚や、数字の割り振り方のバランスなどが掴めていませんでした。

そのため、どの程度の利益が出ているのか、どのくらい投資してよいのか、それを肌感覚でしかできていないという課題感があって、的確な判断をするために具体的な数字が見たいとずっと考えていました。管理会計の必要性を感じてはいたけれど、その方法について悩んでいたという感じでしょうか。

あとは人も増えてきたので、会計ソフトの導入を検討していたタイミングで。そこを学べるというのも大きかったです。

ー 講座ではどんな学びがありましたか?

収益モデルが事業部ごとに違うので、例えば工場部門の経費の振り分け方と割合についてや、原価の中に労務費を入れるべきなのかなどについて、どう見ればいいのかをずっと悩んでいたんですよね。そこを淳さん(中川政七)に聞いて、その回答が腑に落ちたところが学びとしては一番大きいです。

先ほどの原価に労務費を入れるべきか、への回答には「妥当性のある金額として原価計算の中に入っているのなら、入ったものとして進めるべき」と、スパッと言ってくださった。それを実際の管理会計に反映すると、事業の状態や今後やるべきことがもっとクリアに見えてきました。それが大きな学びですね。

ー 次の受講生へメッセージをお願いします!

見るべき数字が見れてないと経営判断を誤るので、自分の想いと数字という結果のすり合わせをする方法が管理会計。事業の大きい小さいにかかわらず、早い段階から管理会計はわかっていたほうがいいんじゃないかと、改めていま思います。自分ももっと早くわかっていたら、投資の仕方や力の入れ具合などが判断できたなと。ぜひ学ぶことをおすすめします。
引き続き中川政七商店では、事業計画講座および、それに関連する教育講座を開催していく予定です。
ぜひ次回の受講を検討されている方は3名の方のご感想を参考ください。

皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

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文:谷尻純子(中川政七商店 編集・広報)
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