菩薩咖喱#04
飲食店経営と、ものづくり・物販の難しさの違いは?菩薩咖喱「スパイスキット」発売までの道のり
GROWTH
2021.03.18
近鉄奈良駅からきたまちエリアの方へ10分ほど歩いていくと、住宅街のなかに見えてくる1軒のお店。ここは「菩薩咖喱(ぼさつかりー)」と名付けられたカレーの専門店です。
カレーが大好きな店主・吉村萌々さんが、イベントでの出店をきっかけに始めた菩薩咖喱。初出店から半年程度で間借り店舗をオープンし、その後すぐに実店舗のオープンに至りました。
実店舗オープン前は、借入も事業計画書の作成も経験がなかった吉村さん。経営を学ぶ必要に駆られたときに知ったのが、株式会社中川政七商店が手がける奈良のスモールビジネス支援プロジェクト「N.PARK PROJECT」でした。
このプロジェクトで、中期経営計画の作成や管理会計、ブランディングに関するアドバイス、広報のサポートなどを受けたことで、吉村さんは出店に踏み出せたといいます。
前中後編と3本に渡りその経緯をお届けしてきましたが、4本目となる今回はお店をオープンした後の“続編”です。オープンから約1年後に、オリジナルの「スパイスキット」を発売し、またECサイトも立ち上げた吉村さん。そこに至るまでの道のりや、思考のプロセスを伺いました。
カレーが大好きな店主・吉村萌々さんが、イベントでの出店をきっかけに始めた菩薩咖喱。初出店から半年程度で間借り店舗をオープンし、その後すぐに実店舗のオープンに至りました。
実店舗オープン前は、借入も事業計画書の作成も経験がなかった吉村さん。経営を学ぶ必要に駆られたときに知ったのが、株式会社中川政七商店が手がける奈良のスモールビジネス支援プロジェクト「N.PARK PROJECT」でした。
このプロジェクトで、中期経営計画の作成や管理会計、ブランディングに関するアドバイス、広報のサポートなどを受けたことで、吉村さんは出店に踏み出せたといいます。
前中後編と3本に渡りその経緯をお届けしてきましたが、4本目となる今回はお店をオープンした後の“続編”です。オープンから約1年後に、オリジナルの「スパイスキット」を発売し、またECサイトも立ち上げた吉村さん。そこに至るまでの道のりや、思考のプロセスを伺いました。
菩薩咖喱(ぼさつかりー)
奈良市のきたまちエリアにあるネパールカレー専門店。「奈良をカレーの総本山にする!」というビジョンを掲げ、豆のカレーを基調とする定食スタイルの「ダルバート」を提供している。2018年からイベント出店をスタートし、2019年に間借り店舗、2020年に実店舗をオープン。実店舗オープン前から、中川政七商店の「N.PARK PROJECT」によるサポートを受ける。
オープンから約1年後、独自ブレンドの「スパイスキット」を発売
「奈良をカレーの総本山にする!」をビジョンに据え、2020年2月29日にきたまちエリアにお店をオープンした菩薩咖喱の吉村さん。オープンから約1年たった2021年3月1日、新たなチャレンジとして、誰でも自宅で簡単にスパイスカレーがつくれる「スパイスキット」を発売しました。
またこの発売に合わせ、お店のホームページもリニューアル。ECサイトの開発・運営プラットフォームであるShopifyを利用し、店頭のほかECサイトでもスパイスキットの販売を始めました。
またこの発売に合わせ、お店のホームページもリニューアル。ECサイトの開発・運営プラットフォームであるShopifyを利用し、店頭のほかECサイトでもスパイスキットの販売を始めました。
飲食店経営だけでなく、物販へのチャレンジにも乗り出した吉村さん。コロナ禍でお客さんの受入数に限界を感じたことが、一つのきっかけとなったと語ります。
「オープンして半月ほどたった時に、N.PARK PROJECTでフォローをいただいていた中川さん(中川政七商店 十三代 中川政七、現代表取締役会長)が様子を見にお店に来てくださって、今後について相談するなかでスパイスキットの構想が出たんです。
その時、回転数には限界があるから客単価を上げたいよねってお話をいただきました。それで、お土産みたいなものがあればいいんじゃないかという話になって。
私自身もコロナ禍で店内に人の流れをつくりすぎるのを避けたかったので、客数を増やすのではなくて、客単価を上げなきゃって考えていました。たくさんの人に来てとは言いづらいなかで、何ができるかなと考えていて」
中川からの提案とともに、吉村さんもまた、飲食の提供だけに限らず何かにチャレンジしたいとお店オープン時から考えていたそう。中川の声がけでその“何か”について検討を始めるとすぐ、吉村さんは「スパイスキットをつくる」という結論に至ったといいます。
「中川さんと何をつくるかのアイデアをお話ししていた時にレトルトカレーの案も出たんですけど、レトルトカレーとなると完全に製造を外部委託にするか、お店でつくるにしても色々クリアしなくてはいけない条件が多そうだなと思いました。
そのお話を聞いた時に、たぶん現実的に一番すぐできそうなのは、スパイスを売ることだろうなと」
「オープンして半月ほどたった時に、N.PARK PROJECTでフォローをいただいていた中川さん(中川政七商店 十三代 中川政七、現代表取締役会長)が様子を見にお店に来てくださって、今後について相談するなかでスパイスキットの構想が出たんです。
その時、回転数には限界があるから客単価を上げたいよねってお話をいただきました。それで、お土産みたいなものがあればいいんじゃないかという話になって。
私自身もコロナ禍で店内に人の流れをつくりすぎるのを避けたかったので、客数を増やすのではなくて、客単価を上げなきゃって考えていました。たくさんの人に来てとは言いづらいなかで、何ができるかなと考えていて」
中川からの提案とともに、吉村さんもまた、飲食の提供だけに限らず何かにチャレンジしたいとお店オープン時から考えていたそう。中川の声がけでその“何か”について検討を始めるとすぐ、吉村さんは「スパイスキットをつくる」という結論に至ったといいます。
「中川さんと何をつくるかのアイデアをお話ししていた時にレトルトカレーの案も出たんですけど、レトルトカレーとなると完全に製造を外部委託にするか、お店でつくるにしても色々クリアしなくてはいけない条件が多そうだなと思いました。
そのお話を聞いた時に、たぶん現実的に一番すぐできそうなのは、スパイスを売ることだろうなと」
実は、スパイスキットの開発・販売を即決できたのには、吉村さん自身が他社のスパイスキットのファンであり、長期にわたって愛用していたという経験も影響しています。
お店オープン前の約1年間、吉村さんはかねてより敬愛するカレー研究家が手がける、カレーのサブスクリプションサービスを利用していました。そのサービスでは毎月スパイスとレシピのセットが自宅に届き、簡単にスパイスカレーがつくれるようになっていたそう。
「うちのお店にもその方のレシピ本がたくさんあります。レシピに書いてあるようなスパイスが、必要な分量だけ送られてくるし、レシピも本より詳細に載っていました。それが面白いなと思って、お店を始める前から利用していたんです。
生活者の方からすると『このサービスだったらお金を払おう』と、きっと思いますし、その割につくっている側はコストの負担が少なそうだなと。自分でもできそうだなって気持ちもちょっとあって(笑)。機会があったら挑戦してみようと、うっすらと思っていたんです。それで、物販があればというお話を聞いて、あれだったらやってみたいなって」
吉村さん自身がヘビーユーザーだったからこそ、できた即決。スパイス単品では買いづらくとも、レシピとセットにした付加価値のある提供方法だと、需要に自身が持てたと話します。
さらにコロナ禍で始めたある取り組みも、スパイスキットの需要を確信する一つの材料になりました。
「コロナ禍で飲食店に行きづらい期間も続いていたので、スパイスカレーのレシピを動画で撮り、SNSに載せる試みを何本かやってみました。それに対して、『美味しかった』とか『もっと違うレシピも見てみたい』というお声をいただきました。ただ、その時にもやっぱり『スパイスってどこで買うの?』みたいなところから始まっちゃう方が多かったんです。
スパイスって取っ掛かりが難しいというか。買う場所の他にも、どのくらいの量を買えばいいのかとか、わからないですよね。私も最初の頃は一部のスパイスを余らせて困ったこともありました。
スパイスをわざわざ揃えなくてもスパイスカレーづくりの入り口になるような、セットになっている使い切りの商品があれば取っ掛かりになりやすいんじゃないか、という思いがあったんです」
お店オープン前の約1年間、吉村さんはかねてより敬愛するカレー研究家が手がける、カレーのサブスクリプションサービスを利用していました。そのサービスでは毎月スパイスとレシピのセットが自宅に届き、簡単にスパイスカレーがつくれるようになっていたそう。
「うちのお店にもその方のレシピ本がたくさんあります。レシピに書いてあるようなスパイスが、必要な分量だけ送られてくるし、レシピも本より詳細に載っていました。それが面白いなと思って、お店を始める前から利用していたんです。
生活者の方からすると『このサービスだったらお金を払おう』と、きっと思いますし、その割につくっている側はコストの負担が少なそうだなと。自分でもできそうだなって気持ちもちょっとあって(笑)。機会があったら挑戦してみようと、うっすらと思っていたんです。それで、物販があればというお話を聞いて、あれだったらやってみたいなって」
吉村さん自身がヘビーユーザーだったからこそ、できた即決。スパイス単品では買いづらくとも、レシピとセットにした付加価値のある提供方法だと、需要に自身が持てたと話します。
さらにコロナ禍で始めたある取り組みも、スパイスキットの需要を確信する一つの材料になりました。
「コロナ禍で飲食店に行きづらい期間も続いていたので、スパイスカレーのレシピを動画で撮り、SNSに載せる試みを何本かやってみました。それに対して、『美味しかった』とか『もっと違うレシピも見てみたい』というお声をいただきました。ただ、その時にもやっぱり『スパイスってどこで買うの?』みたいなところから始まっちゃう方が多かったんです。
スパイスって取っ掛かりが難しいというか。買う場所の他にも、どのくらいの量を買えばいいのかとか、わからないですよね。私も最初の頃は一部のスパイスを余らせて困ったこともありました。
スパイスをわざわざ揃えなくてもスパイスカレーづくりの入り口になるような、セットになっている使い切りの商品があれば取っ掛かりになりやすいんじゃないか、という思いがあったんです」
「スパイスキット」構想時の資料
「やれることは全て自分で」を経て、人への依頼にチャレンジ
今回発売されたのは「チキンカリー」「キーマカリー」「野菜カリー」の3種類。この3つのラインナップはどう決めたのかと聞くと、そこにはお客さんの購買心理を考えたうえでの決定があったそう。
「最初は何種類もつくるつもりはなくて、とりあえず1種類かなと思っていました。でも、中川さんから『ECサイトに商品が並んでいる時、何種類かが並んでいたらそのなかでどれを買うかの選択肢になるけど、1種類だけだと買うか買わないかになる』とアドバイスを受けて。確かに、と思いました」
そこでスパイスカレーの定番であるチキンカリーと、チキンの次にスパイスと相性が良いと吉村さんが考えるキーマカリー、それに動物性食品が苦手な方にも楽しんでもらうために野菜カリーを追加し、まずは3種類をつくることに決めたのだといいます。
「最初は何種類もつくるつもりはなくて、とりあえず1種類かなと思っていました。でも、中川さんから『ECサイトに商品が並んでいる時、何種類かが並んでいたらそのなかでどれを買うかの選択肢になるけど、1種類だけだと買うか買わないかになる』とアドバイスを受けて。確かに、と思いました」
そこでスパイスカレーの定番であるチキンカリーと、チキンの次にスパイスと相性が良いと吉村さんが考えるキーマカリー、それに動物性食品が苦手な方にも楽しんでもらうために野菜カリーを追加し、まずは3種類をつくることに決めたのだといいます。
NAKAGAWA’s eye
ECサイトでの見え方もそうですが、店頭に並んだ時の見え方も同じく重要です。1種類だと面にならないので、3種類のほうが良いです。またいろいろな商品が並んでいるなかで「この商品が何なのか?」が、パッとわからないといけません。なのでこの後に着手するパッケージでも、「スパイスキット」であることを情報として強くしてもらいました。
フレーバーが決まった後は、パッケージのデザインやECサイトの立ち上げへ着手。Shopifyの日本公式パートナーである株式会社フラクタを中川より紹介されます。
ちょうどその頃、ECサイトの立ち上げ支援だけでなく商品そのもののデザインにも事業領域を拡大すると決定のあったフラクタさん。ECサイトとパッケージをトータルで提案をしてくれることとなりました。
ちょうどその頃、ECサイトの立ち上げ支援だけでなく商品そのもののデザインにも事業領域を拡大すると決定のあったフラクタさん。ECサイトとパッケージをトータルで提案をしてくれることとなりました。
フラクタさんの提案資料より
これまで「自分でできることは自分でやる」をモットーに、ロゴのデザインやメニュー表の作成、ホームページ立ち上げなどのほぼ全てを自分で対応してきた吉村さんにとって、人に依頼をするというのはほとんどなかった経験。
当初、パッケージデザインは自身で担当しようと検討していた吉村さんですが、中川より「必要であればデザイナーも紹介しますよ」と声をかけられたことから、人への依頼経験を積みたいと考え、今回は外注することに決めたそうです。
「お店を立ち上げる時は、人に任せた場合に自分が持つイメージをうまく伝えられるかが不安で。とりあえず自分でやってみようと思い、ロゴなどは自分でつくりました。
でも今回はショップカードや看板など『こういうイメージです』と説明しやすい材料が既にある程度揃っていたので、この状態だったらお願いしやすい気がするなと。そこで初めてお願いしてみようかなって思ったのはありますね」
フラクタさんとパッケージを開発していく際にこだわったのは、そのまま誰かへ郵送できるような仕様や、パッケージ組み立て時の作業工数が少ないこと。パッケージを組み立て、スパイスを詰める作業は外注せずにお店で行うと決めていたため、必要な工数が増えるとミスが起きやすくなる懸念から、こう依頼したのだといいます。
当初、パッケージデザインは自身で担当しようと検討していた吉村さんですが、中川より「必要であればデザイナーも紹介しますよ」と声をかけられたことから、人への依頼経験を積みたいと考え、今回は外注することに決めたそうです。
「お店を立ち上げる時は、人に任せた場合に自分が持つイメージをうまく伝えられるかが不安で。とりあえず自分でやってみようと思い、ロゴなどは自分でつくりました。
でも今回はショップカードや看板など『こういうイメージです』と説明しやすい材料が既にある程度揃っていたので、この状態だったらお願いしやすい気がするなと。そこで初めてお願いしてみようかなって思ったのはありますね」
フラクタさんとパッケージを開発していく際にこだわったのは、そのまま誰かへ郵送できるような仕様や、パッケージ組み立て時の作業工数が少ないこと。パッケージを組み立て、スパイスを詰める作業は外注せずにお店で行うと決めていたため、必要な工数が増えるとミスが起きやすくなる懸念から、こう依頼したのだといいます。
また郵送できる仕様を大切にしたのは、自身のサブスクリプション利用時の思い出がその理由。毎月ポストにスパイスが届く体験にワクワクした吉村さんは、その感覚を取り入れたかった、と教えてくれました。
お店への来店間口を広げるイベントも実施
2020年4月上旬頃、新型コロナウイルスが猛威を振るい世間は1度目の緊急事態宣言期間へ突入。スパイスキットの開発を進めながら、お店はテイクアウト営業へ切り替えました。
「オープンの勢いで2020年の3月はずっと忙しくて。人がすごく出入りしてる状態が続いてたんです。でも、このまま続けるなかでお客さんがお店でコロナに感染するとか、もし何かあったらどうしようと思っていました。まだスタートしたばかりなのに、変なイメージがついてしまうのは良くないなと判断をしてテイクアウト営業に切り替えたんです」
世間の新型コロナウイルス感染への不安や、テイクアウト営業への切り替えも合いまり、菩薩咖喱の客数は落ちてしまったといいますが、吉村さんはその状況をポジティブにとらえたそう。これまで多忙のため手がつけられていなかった、各種の取り組みを進める機会としました。
「オープンの勢いで2020年の3月はずっと忙しくて。人がすごく出入りしてる状態が続いてたんです。でも、このまま続けるなかでお客さんがお店でコロナに感染するとか、もし何かあったらどうしようと思っていました。まだスタートしたばかりなのに、変なイメージがついてしまうのは良くないなと判断をしてテイクアウト営業に切り替えたんです」
世間の新型コロナウイルス感染への不安や、テイクアウト営業への切り替えも合いまり、菩薩咖喱の客数は落ちてしまったといいますが、吉村さんはその状況をポジティブにとらえたそう。これまで多忙のため手がつけられていなかった、各種の取り組みを進める機会としました。
NAKAGAWA’s eye
コロナの影響を嘆いていても仕方ありません。それは「手の届かないところ」。「手の届くところ」でやるべきことはたくさんあるはずです。
会社が倒れないようにキャッシュの手当だけきちんとして、手の届くところに集中すべきです。
会社が倒れないようにキャッシュの手当だけきちんとして、手の届くところに集中すべきです。
その取り組みの一つが「スナック菩薩」と「菩薩夜会」と名付けたイベント。感染拡大が少し落ち着いたタイミングを見計らい、これまでは日中の営業のみであったところから、夜にもイベントを実施するようになります。
「緊急事態宣言が明けてから店内飲食可能に戻しましたが、やっぱり、ゆっくりな再スタートになりました。でもすぐに客数を増やすのは、自分が頑張っても思うようにはいかないと思ったんですね。だから客数を増やすのではない方に舵を切ろうと考えました。
忙しい時にはできなかったことを今やろうと、まずは『スナック菩薩』というイベントを6月頃に開催してみたんです。昼間だと時間帯が合わない人向けに、夜に営業してみたいなという考えは前からあって」
「緊急事態宣言が明けてから店内飲食可能に戻しましたが、やっぱり、ゆっくりな再スタートになりました。でもすぐに客数を増やすのは、自分が頑張っても思うようにはいかないと思ったんですね。だから客数を増やすのではない方に舵を切ろうと考えました。
忙しい時にはできなかったことを今やろうと、まずは『スナック菩薩』というイベントを6月頃に開催してみたんです。昼間だと時間帯が合わない人向けに、夜に営業してみたいなという考えは前からあって」
「スナック菩薩」告知時のInstagram画像(提供:菩薩咖喱)
「ただカレーを食べるだけでなく、イベント要素の強いもののほうが来やすい人もいるだろう」と、お酒を出したり、スパイスを使ったおつまみメニューを出したり。一方、カレーを本気で堪能できる「菩薩夜会」なるイベントも、それからしばらくして発足させます。
「スナック菩薩を開催したのは、お昼に会えない人たちと夜に交流する場を持つこととか、イベントきっかけで興味を持ってもらった方をお昼のほうへ呼び込むとか、来店の間口を広げるきかっけにしようと思ったからなんです。
でも何回かスナック菩薩を開催した頃、知り合いの飲食店経営者から『カレー屋やのにスナックみたいなイベントをして、仲間と内輪ノリで遊んでいるようにしか思えへん』って言われて。『カレーも本気で出さずに』みたいなことも言われたんですよね。
別にそんな意図じゃなかったから嫌な気持ちにはなったんですけど(笑)、それって、私の開催意図がハッキリしてないように見えるからかな、とも反省して。
だから、カレーを本気で出すイベントも別でやろうと考えて、菩薩夜会を始めました。立ち位置をはっきり分けようと思った感じです」
「スナック菩薩を開催したのは、お昼に会えない人たちと夜に交流する場を持つこととか、イベントきっかけで興味を持ってもらった方をお昼のほうへ呼び込むとか、来店の間口を広げるきかっけにしようと思ったからなんです。
でも何回かスナック菩薩を開催した頃、知り合いの飲食店経営者から『カレー屋やのにスナックみたいなイベントをして、仲間と内輪ノリで遊んでいるようにしか思えへん』って言われて。『カレーも本気で出さずに』みたいなことも言われたんですよね。
別にそんな意図じゃなかったから嫌な気持ちにはなったんですけど(笑)、それって、私の開催意図がハッキリしてないように見えるからかな、とも反省して。
だから、カレーを本気で出すイベントも別でやろうと考えて、菩薩夜会を始めました。立ち位置をはっきり分けようと思った感じです」
NAKAGAWA’s eye
序盤はとにかく手数が大切です。
ブランドイメージを厳格に捉えすぎて、あれもだめこれもだめと手数が減ると、最初の壁を超えることができません。
ブランドイメージを厳格に捉えすぎて、あれもだめこれもだめと手数が減ると、最初の壁を超えることができません。
菩薩夜会で提供するカレープレートの内容
飲食店と、ものづくりの難しさの違い
コロナ禍の厳しい状況に負けず、こうしてスパイスキットの開発や各イベントの開催という新しい試みにチャレンジしていった吉村さん。
ところで、これまでやってきた飲食店と今回初となるものづくりで、違う難しさはありましたか?
「飲食店は、ある程度は自分の判断でできていたんですけど、ものづくりになると自分以外の人を多く巻き込むので責任の重さが違うなと感じました。
お店の場合はほぼ1人で運営しているので、仕入れに行ってすごくいい食材を見つけたら『じゃあ明日、新しいメニューを出そう』とか場当たり的にできてたんですね。でも商品をちゃんとつくって売るとなると、パッケージ一つにしてもデザイナーさんや印刷屋さんが関わってきます。
事前の準備にすごく手間がかかるし、色んな方にお願いして動いてもらわないといけないから、失敗したらあかんな、という感じが普段と全然違いましたね」
ところで、これまでやってきた飲食店と今回初となるものづくりで、違う難しさはありましたか?
「飲食店は、ある程度は自分の判断でできていたんですけど、ものづくりになると自分以外の人を多く巻き込むので責任の重さが違うなと感じました。
お店の場合はほぼ1人で運営しているので、仕入れに行ってすごくいい食材を見つけたら『じゃあ明日、新しいメニューを出そう』とか場当たり的にできてたんですね。でも商品をちゃんとつくって売るとなると、パッケージ一つにしてもデザイナーさんや印刷屋さんが関わってきます。
事前の準備にすごく手間がかかるし、色んな方にお願いして動いてもらわないといけないから、失敗したらあかんな、という感じが普段と全然違いましたね」
スパイスキットで調理したカレー。上からチキンカリー、キーマカリー、野菜カリー
成功ばかりの毎日ではありませんが、あくなき探求心とチャレンジ精神で、ネパールカレーの「ダルバート」に加え、家庭用のスパイスキットや、ちょっとマニアックなカレーイベントなどでもカレーの魅力を届ける吉村さん。
次はどんな試みで私たちをカレーのとりこにさせてくれるのか。奈良をカレーの総本山にするその挑戦に、引き続き熱い視線が集まります。
次はどんな試みで私たちをカレーのとりこにさせてくれるのか。奈良をカレーの総本山にするその挑戦に、引き続き熱い視線が集まります。
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INFO
菩薩咖喱(ぼさつかりー)
営業時間: 11:00-15:00 (L.O. 14:00)
定休日: 水曜日・木曜日
住所: 奈良県奈良市北袋町7
公式サイト: ホームページ / Twitter / Instagram / note
スパイスキットの購入はこちらから:
菩薩咖喱 店頭 / 菩薩咖喱 ECサイト / 中川政七商店 奈良蔦屋書店
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スコープ外
文・写真/谷尻純子