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北条工務店#04

[鼎談]北条工務店×中川政七 「ローカルではなくグローカル」奈良からの挑戦

RELEASE
2021.02.09
3回にわたり、家づくりだけでなく「その人らしい暮らしの豊かさ」を提供する、北条工務店の北条愼示さん・満李子さん夫妻のチャレンジをご紹介してきました。

ここからはちょっと番外編。

二人と公私ともに仲の良い中川政七も交えて、夫妻のチャレンジや、そのチャレンジを見ながら中川政七が感じていたことなどを鼎談形式でお届けします。

失敗・迷走・とにかくもがいたエピソード。そんなことも含めてざっくばらんに話してもらいました。
株式会社北条工務店
創業昭和20年、奈良県を拠点に活動する工務店。「住まいの豊かさを深める」をコンセプトに、注文住宅の建築ほか、住宅リフォームやリノベーションなど、住まい全般に関連する設計・施工・管理を行う。2012年には別ブランドの「HJ」を立ち上げ、「暮らしの種をまく」をコンセプトとして、マルシェや暮らしにまつわるスクールなどのイベントも企画・運営。中川政七とは奈良の経営者仲間として公私ともに親しい間柄。

北条工務店のブランディングを体現する会社案内「A DAY」

中川:

長年、北条さんと関わってきた中で「すごいな、マネできひんな」って思ったことが一つあって。「A DAY」なんだけど。北条工務店の価値観がビジュアルを通じてすごく表現できていると思う。
愼示さん:

うちの会社案内のことですね。最初につくったのは7年くらい前だったかな。

中川:

第1号目の「A DAY」から、「A WEEK」や「A YEAR」に進化していく一連の流れもすごいなって思った。
愼示さん:

ありがとうございます。例えば「A WEEK」では月曜日から日曜日までの一週間を、ただ写真と言葉で綴ってるだけなんですよ。

僕らの会社案内では「こんな工法を使ってます」とか「性能値がいくつです」を書いてなくて、自分たちが一週間働いている様子を写真で掲載しているだけ。

なので、会社案内の請求をされたお客さんは結構驚かれます。他の会社は性能や間取り、金額などが載っているのに、うちには全くそういうのが載ってないから(笑)。
満李子さん:

私たちがどんなことを考えている会社なのかを、日常の様子を通じて伝えたくて。自分たちの毎日を写すことで、家づくりのスタンスとか、家づくりの中でどんな行事があるかも含めて、全部わかるんじゃないかなと思ってつくったんです。
中川:

北条工務店の価値観がこの一冊で伝わるっていうことやね。仕事柄、ブランディングについて話すことが多いけど、相変わらずブランディングが何かをわかっていない人がたくさんいる中で、これにはなんか撃ち抜かれた感じがした。

満李子さん:

できたばかりの会社だと、これを見たときにお客さんはちょっと不安に思われるかもしれないんですけど、うちは1945年創業という伝統があったのでそこに対する心配はありません。

伝統と実績はある、じゃあ足りないものは何かってずっと考えていた中で出てきた形ですね。「A DAY」ができたときは中川さんに褒めてもらいたくて、すぐに送りました(笑)。

中川:

ある意味ショックを受けたわ。素晴らしいブランディングやなって。

最初に会った時は愼示さんの髪の色が緑で、「やばい人や、あんまり関わらんとこ」って思ったけど(笑)。食事に誘われた時も1人で行くのが嫌やから知人を誘って行ったなぁ(笑)。

夫妻:

ハハハ!

中川:

そこから誤解も解けて(笑)、一緒に食事とかもするようになって。2009年頃には奈良の魅力を伝えるメディア「トリリウム」も20人くらいで立ち上げたよね。
満李子さん:

懐かしい!学生時代に趣味でやってたバンド名を言われるような恥ずかしさです(笑)。

まだお互いが何者でもなかった時代ですよね。「何かしなくては」って必死にもがいていた時期でした。そんなに上手には運営できていなかったけど、この時の経験や出会いから今の事業につながっているものもありますね。

中川:

本業はもちろん部活も、結局どれだけがむしゃらに打ち込めるかが大事だよね。がむしゃらにやっていた自分や北条さんは、ありがたいことに今、本業も事業が大きくなっている。こういった姿勢にも表れるんかなって思うな。

プロフェッショナルな仕事に触れる面白さ

愼示さん:

中川さんと親しくさせてもらってから、もう長くなりましたよね。一緒に仕事をしていると、出来上がるものももちろんすごいけど、その過程が面白いんですよ。

中川さんしかり、一流の人と仕事をすると、仕事のスピード感とか提案内容の整え方とか、勉強になることがたくさんありますね。

中川:

そういえば昔、僕が中川政七商店のクリエイティブデザインをお願いできる人を探していたら、北条さん夫妻に水野学さん(※1)を推薦してもらった。今、北条工務店さんがホテルの設計を依頼している片山正通さん(※2)は僕が紹介したりと、持ちつ持たれつになってるね。

愼示さん:

そうですね。片山さんとお仕事をさせてもらったのは転機になりました。プロの仕事を見て、プロの当たり前に触れることの大切さを実感しましたね。

お金のかけどころも、片山さんから学びました。僕たちがブランドリニューアルをしようと思っていた時、片山さんにロンドンのWinkreativeさん(※3)を紹介してもらったんです。そのご縁で今のロゴデザインとか、ブランドアイデンティティの作成をお願いして、素敵なビジュアルをつくっていただけました。
愼示さん:

奈良の会社がロンドンのクリエイティブエージェンシーに仕事を依頼するって、無茶なように思えますが、そこは中川さんの影響も大きいですね。

中川さんがデザイン業界のトップにいらっしゃる水野さんに、クリエイティブデザインを依頼されているのを間近で見ていて、その姿勢を学ばせてもらいました。

ローカルだからといって、無茶と思わないこと。自分たちを高く見積もること。自分たちは、ローカルではなく「グローカル」なんだって。

ローカルに活動しているけど、東京や、海外にも「いいな」と思ってもらえるグローバルな存在でありたいと思うようになりましたね。

中川政七から学ぶ、経営者としての生き方や考え方

満李子さん:

中川さんから学んだのは、生き方や勝負どころの覚悟、誠実さ、軽やかさのようなスタンスの部分も大きいですね。会うたびに軌道修正されるような感覚です。

さりげない会話の中にヒントが隠されていて、そのぽろっと出された言葉を、例えば半年後、「左に行くか、右に行くか」の判断をする時に思い出すこともあります。

大きな決断をしなくては行けない時に、相談できる人がいてくれることの安心感は大きいです。

愼示さん:

そうやね。あとはタイミングの大切さも教わった。機会が訪れたら、即判断することが重要、一瞬の判断が未来を変えるんやなって。だからホテルの話が上がったときも、すぐにチャレンジすることを決めましたね。

中川:

即決過ぎて、話を持ちかけた僕のほうが「え、お金とか大丈夫?」って心配したわ(笑)。
愼示さん:

このメモ、中川さんは覚えているかどうかわからないんですけど、大事に保管してて。僕らの家で食事している時に、ササッと書いてくださったんですよね。

北条工務店は何者か。中川さんは、北条工務店の立ち位置を『ライフスタイル業界』と置かれた。住宅業界ではないと。

だとすると、ライフスタイル業界における北条工務店の強みは「家をつくれること」なんじゃないか、という話をされました。

これを言われた時は、もう衝撃で。僕らにとって、家をつくれるって当たり前じゃないですか。

だけど確かにセグメントを「ライフスタイル業界」と置いた場合、今、世に出ているブランドで実際に家をつくっている会社って無印良品(注:株式会社良品計画)さんだけなんですよね。でも、無印良品さんは自分たちでは施工をしていなくて。

「自分たちで設計・施工できることはすごい強みだよね」って、このときに教えられました。

中川:

確かに書いたね。よく持ってたなぁ(笑)。
愼示さん:

奈良でいうと石村由起子さん(※4)さんだったりとか、日本だとミナペルホネンの皆川明さん(※5)とかって、暮らしに影響を与えてたりしますよね。

それで、こと建築業界で考えるとやっぱり暮らしに影響を与えてる人っていないんですね。

そう考えたら中川さんのお話がしっくりきて。北条工務店が暮らしに影響を与えるところまで行けたら、今までと違ったポジションになれるなって思いました。

そのチャレンジの一つが、今後展開していくホテル事業です。ホテルを通じて自分たちの暮らしに対する考え方を体感してもらえたらいいなって。
満李子さん:

あと、中川さんは生き方が賢いなぁと思います。賢い人は、無理をしないし、こね回さないんやなって。手数というか、選択肢が豊富ですよね。先手も読めて柔軟やし。

目指すものがしっかりあって、そこまでの道がどんな方向に行ったとしても、柔軟な選択肢の中からシンプルに考えて対応できていらっしゃるなって思います。
中川:

そうやね。周りを見ていて、みんな、もっといろんなルートがあるのになと思うこともあるかな。選択肢の幅が狭くてもったいないなぁと。

北条さんのいいところは、いろんなものから考え方やスタンスを学んで、自分たちなりの具体的な行動に落とし込むところ。普通は具体の答えを欲しがるよね。そうやって北条さんたちみたいにちゃんと解釈して自分流をつくっていくと、物事へのいろんな判断がブレないと思う。

北条夫妻:

ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
<編集後記>
当然のことながら、いま活躍している人や会社にも悩み苦しむ時期があり、またこの先の道で新たな困難が待ち受けていないとは限らない。

しかし、たくさんの経験や学びから“自分らしい答え”を出せるようになっていれば、先の見えない未来を不安に思いすぎることはありません。

迷い、失敗した数だけ見つけられた答えがあるはず。

今回の鼎談からは「人との出会い」「大事な場面での一瞬の判断」「覚悟感」「柔軟な考え方」の大切さとともに、悩み苦しんだ経験を糧に“自分らしさという自信”を確立していく面白さを学びました。
<注>

※1…クリエイティブディレクター、 クリエイティブコンサルタント。株式会社グッドデザインカンパニー代表 。 「くまモン」の企画や「Oisix」のロゴなど多数を手がける日本のトップクリエイター。現在使われている中川政七商店のロゴも水野氏の作品。2016年、13代が中川政七を襲名する際の後見人となった。

※2…インテリアデザイナー。株式会社ワンダーウォール代表、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科の教授。世界中の有名メゾンから店舗デザインなどの依頼が殺到する。代表作に「UNIQLO GLOBAL FLAGSHIP STORE」「NIKE HARAJUKU」など。水野氏と同じく、13代が中川政七を襲名する際の後見人。

※3…イギリス・ロンドンに拠点を構えるクリエイティブエージェンシー。幅広い企業のブランディングや広告など、クリエイティブに関するあらゆるソリューションを提供する。ビジネス・ライフスタイルマガジン「MONOCLE」の出版元でもある。

※4…奈良の人気カフェ・雑貨店「くるみの木」オーナー。空間コーディネーター。ライフスタイル全般への審美眼に信頼が厚い。同奈良の観光案内施設「鹿の舟」の総合プロデュースも担当。

※5…ファッションデザイナー。ブランド「ミナ・ペルホネン」を設立。やわらかい色づかいと繊細な線が描く模様で、唯一無二の世界観をつくり出す。その独特のテキスタイルデザインは日本だけでなく世界で愛されている。

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INFO

北条工務店

北条工務店:
奈良県奈良市三碓2-4-15-1
https://www.hojoh.co.jp/

HJ GALLERY:
奈良県奈良市三碓2-4-13-2
https://www.hj-g.jp/

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文:谷尻純子 写真:奥山晴日

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