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川東履物商店#01

履物の産地・奈良でヘップサンダルをアップデート。川東履物商店の挑戦

IDEA
2021.02.24
古くから履物の産地として栄えた奈良県。今もなお県内各地では、革靴や草履をはじめとした履物にまつわる商いが続いています。

2020年にヘップサンダルブランド「HEP」をデビューさせた、川東履物商店の川東宗時さんもまた、奈良の地で履物と深く関わりながら育った一人。父方の実家はヘップサンダルを手がけるメーカー、また母方のお祖父様も履物職人と、「まさに履物に育てられたようなものだ」と川東さんは語ります。

しかし一時は隆盛を極めた産地といえど、現在は衰退の一途をたどるばかり。150軒ほどあったメーカーの数は、現在15軒ほどにまで縮小しているそうです。

そのような状況でなぜ、川東さんは新たなチャレンジを仕掛けようと考えたのでしょうか。

前・中・後編の3編に渡り、その経緯と想いを伺いました。この記事では前編をお届けします。
川東履物商店
1952年の創業時より履物事業を営む川東商店の4代目・川東宗時さんが、ヘップサンダルをプロダクトの主軸に置き、個人事業主として立ち上げた事業。プロデュースするヘップサンダルブランド「HEP」は、「ニューヘップサンダル」をコンセプトに、古くから愛され続けてきたヘップサンダルが未来につながるよう、様々な角度からアップデートを試みる。

かつては生活道具として愛されたヘップサンダル

奈良県中西部に位置する大和高田市。昼間は静かな時間が流れる住宅街の中に、昔ながらのシンプルな佇まいの、一軒の大きな工場があります。がらがらと音をたて中に入ると、広い倉庫の中にはぽつんとした作業スペースと、事務所スペースが。

この場所を拠点に、ある一人の若き挑戦者がいま、古くて新しいヘップサンダルを武器として履物業界に新風を吹かせています。

その挑戦者とは、川東宗時さん。川東さんの生家・川東商店が営むヘップサンダルの製造事業は、川東さんの曾祖父様が立ち上げ、履物の資材卸を生業としたところから始まりました。

続くお祖父様の代からは、資材の卸業を一部残しながらもメーカーに業態を変え、自分たちでも、ものづくりをするように。数ある履物の中から、主力商材として選んだのがヘップサンダルだったそうです。

ヘップサンダルは分業体制のため、川東商店では主に企画を行い、製造は各専門事業者へ。資材卸からメーカーへと業態を変えた当時は奈良県内で製造を完結していましたが、その後、90年代にものづくり企業の多くが海外へと製造拠点を移管していった頃、時を同じくして川東商店もヘップサンダルの製造の場を海外に移しました。
完成品は問屋を経由し、ホームセンターや商店街の靴屋で販売。皆さんも店頭のワゴンに、カラフルで手頃な価格のサンダルがぎっしりと積まれて販売されているのを一度は見たことがないでしょうか。

そもそもヘップサンダルとは、かかと部分にストラップがない、いわゆる“つっかけサンダ”ルのこと。「ヘップ」と呼ばれる所以は、かの大女優オードリー・ヘップバーンが映画の中で履いていたことにあります。

「ヘップサンダルって、昔の日本では各家庭に一足あったんですよ。当時の日本は、土間があったり、洗濯機が屋外に置かれていたりと、家の内と外を行き来する回数が今より多かった。

お風呂やトイレも母屋と離れで分かれているのが、昔の日本家屋の特徴だったんです。要は、行ったり来たりしなくちゃいけなくて。

ほら、何だかカラフルだったり、装飾がちょっと凝ったつっかけ履きのサンダルって、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの家の勝手口に置いてるイメージがありませんか?」

28歳で奈良へUターンし、履物の世界へ

履物事業を生業とする実家に育った川東さんですが、幼い頃から自身を跡取りと意識したことはなく、また両親からも家業に入るよう強制されたことは一度もなかったそう。

ファッションに興味があったため大学時代はアパレルブランドでアルバイトをし、新卒の就職時は岡山に本社をおく繊維商社に入社。セレクトショップに出向して販売員を経験したり、本社のOEM担当部署で生産管理を務めたり、また東京では自社ブランドの営業を担当したりと、アパレル業界で川上から川下までの様々な経験を積みました。

4年ほど働き同社を退職した後は、海外好きが高じてマレーシアへ移住。現地企業へ転職します。現地ではヘアサロンを営む美容企業で、ヘアケア用品やアパレル製品などを仕入れて販売する、リテール事業の立ち上げを担当しました。

再び奈良に戻ってきたのは28歳の時。特にきっかけがあったわけではなく「とりあえず日本に戻ろう」と思い、日本での仕事はこれと決めずに実家へ戻ったのだといいます。

「実家が奈良なので、東京や大阪のように豊富に仕事があるわけでもない(笑)。なのでいったんは家業の仕事を手伝い始めたという流れです」
NAKAGAWA’s eye
家業を承継するパターンは2つあります。子どもの頃から継ぐことが前提となっているパターンとそうではなく自分の意志で継ぐパターン。私も川東さんも後者です。

前者の良いところは、新卒の時から逆算のキャリアプランを考えられること。後者の良いところは自分の意志で選んでいるので覚悟があること。以前は前者が多かったですが、最近は後者も増えてきたように思います。
しかし実は川東さん、20代半ば頃から「自分の好きな仕事と家業は、近いのではないか」と感じていたそう。

「家業は履物づくりを小規模でやっていて。自分が『やりたい』と思っていた、“もの”を企画し、つくってお客さんに届けるということって、実家でもしているなと思っていました。

だったら家業の分野をアレンジしながら、実家で仕事をする選択肢もあるのかなと」

川東履物商店の立ち上げ

日本に戻った後すぐに、ヘップサンダルを主軸に自分自身のブランドを立ち上げようと決めた川東さん。しかし当時の奈良は履物の産地といえど、市場の縮小に伴いかつての活気は失われ、もはや「風前の灯火」状態。

「奈良県内のヘップサンダルに携わる事業者数は、産地が元気な時は150軒ほどありましたが、今は15軒程度しかない。10分の1になっちゃったんです。そもそも需要が減っているので、供給量も減り淘汰されてしまったんですよね。

実際に僕が小学生くらいの時から、もう衰退は始まっていて。ヘップサンダルという言葉の認知度も低かったです。例えば父親の職業を友達と話している時も『ヘップサンダルをつくっている』と言うと、みんなポカンとしていました。

僕にとってはヘップサンダルって当たり前の存在だったけど、みんなにとっては違うんだなって。時代の死語になったというか」

時代が移り変わるにつれ、必要とされなくなってしまったヘップサンダル。それを受け入れたところから挑戦はスタートしたと川東さんは語ります。

「生活道具としての需要は一度なくなったけど、『でも、やっぱりよくない?』と思ったのが事業を始めようと思ったきかっけです」
もう一つ、ヘップサンダルブランドの立ち上げにあたり、川東さんには忘れられない光景があります。

それは県内の事業者に挨拶へ行った時に見たもの。

「奈良に戻ってきてすぐ県内のつくり手さんたちに挨拶しに行ったのですが、需要の少なさからくる自信のなさなのか、皆さん背中を丸くしていらっしゃいました。

その姿を見て『どうにかしてあげたいな』と思っちゃったんですよね。つくり手さんに誇りを取り戻してほしかったというのも、ヘップサンダルブランドを新たにつくろうと思ったきっかけとしては、めちゃくちゃ大きいです」

川東さんは家業の「川東商店」を手伝う傍ら、別に個人事業主として「川東履物商店」を立ち上げました。

この屋号は、かつて初代の曾祖父様が事業を立ち上げた際の屋号からもらったのだそう。過去の資料を読んでいてわかったことですが、家業の川東商店は、もともとは川東履物商店としてスタートしていたのです。

いつしか簡略化され「川東商店」が使われるようになったものの、元の屋号のほうが事業の建て付けがお客様に伝わると判断し、採用したのだそう。

「とはいえ、まだぼんやりとしか事業内容は決まってなかったし、どれだけの売上や利益になるかもわからない。だからスモールスタートで始めようと思い、まずは個人事業主という形をとりました」

NAKAGAWA’s eye
後継者の新規事業への取り組みを最初から別会社で行うのは珍しいことだと思います。通常は既存会社の中で行うので。

資金の調達など苦労することも多いと思いますが、世間でよくある親子間の意見対立を回避する意味では素晴らしい事前策だと思います。
そうして「HEP」の元となる構想を始めたのが2018年の頃。何からどうすべきか悩んでいた川東さんは、SNSのタイムラインで、奈良で開催されるという中川政七商店の「経営とブランディング講座」のお知らせを目にします。

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INFO

川東履物商店

奈良県大和高田市曙町15-33
HEP公式サイト:ホームページInstagramONLINE SHOP

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文/谷尻純子 写真/奥山晴日

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